2013/06/10

公務員管理に有効な NSA

米大手マスコミが NSA による通信傍受を暴露した。NSA は政府機関で前身のひとつには海軍情報部の暗号解析グループも含まれていた。連合艦隊司令長官山本の暗殺に成功した暗号解読もやってのけた誇るべき成果をあげた。戦後も,橋下政権時の日米自動車交渉の際,盗聴をして日本に妥協を迫る事ができた。戦前の軍縮交渉時の暗号解読はつとに有名だ。

何故,日本政府(海軍)は簡単に暗号を破られるのか考えてみた。国内では官憲による電話の傍受,手紙の検閲は自由にでき,国民もそれを当然と思っていた。つい最近まで電話,郵便は公社で政府機関みたいなようなものだった。米国の郵便公社は別として電話は民間会社である程度政府と緊張関係にあった。その名残がオバマが言及した,通信の傍受は裁判所の許可が必要だから,国民のプライバシーは守られると演説した。昔なら,人手で手紙を読み,通話を傍受しなければならなかった時代から,デジタルに変りコンピュータが監視し,手間がかからなくなった。今や,特定の限定された監視対象だけでなく不特定多数の人々を監視下における。一方,日本の場合,通信行政の許認可を政府が掌握しており,通話記録等の傍受はしなくても通信事業者から提供を受けられるせいもあって,努力する必要がない。

私が NSA が素晴らしいと思うのは米公務員の監視に有効に使われているからだ。前任の CIA 長官はメールの監視によりCIAではなくFBIの調査(実際は捜査)で退任となった。長官はアフガンでゲリラ掃討作戦を指揮しているとき,米本土の不倫相手にメールを頻繁に出していて機密事項も漏らしてしまったのだろう。大会社では管理者が社員のメールを全て読んでいるのが普通だが,どうも日本の公務員のメールを監視している組織がない。もっとも狙われやすい警察官と防衛省特別公務員のメールを傍受する日本版 NSA がないと情報は米経由で筒抜けだろうと思われる。

戦前は,ドイツ政府から日本政府に日本の暗号が解読されていると通知されたが,外務省,海軍は無視した。日本の官庁は国民の管理は非常に熱心だが,自組織が他の組織に管理される事を嫌う。高級官僚を管理できない日本は危機管理を米軍(政府)経由で特に防衛省を管理してもらうしかないのだろうと思う。

蛇足だが,国民番号制度を片山さつきがTVで図を示しながら,省庁間で共有の説明をしていた。省庁の数だけ漏洩するリスクが高まるアホなシステムにしかみえない。実際のところ個々の省庁は国民のプライバシーなど全く関心のない事がわかる図だった。好き勝手をするお役所をどうやってコントロールしたらよいのか。官僚国家では所詮無理か。

とりあえず,官僚のメールを一括して監視する機関を設ける必要があるのは確かだが,これはさらに無理か。2000年前,神官(官僚)を管理できなかったユダヤ民族はローマ帝国に軍事外交を委ねたが,最期はローマ化を否定する愛国派が政権を握り,「故法に従え」とローマに対してレジスタンスを起こし滅ぼされた。
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