天測航法
放送をなりわいとする人が福島から太平洋横断を試みた。眼鏡をかけていないので視力はいいのであろう。戦前,海軍兵学校は厳格な視力検査を施した。敵艦を発見するだけでなく,天測には欠かせない要件であったのだろう。
われわれが現在,知っているのは北半球の西欧風の星座名である。明治海軍も伝統的天測航法を捨て近代航法に切り替わったのであろう。かつて,ポリネシアには北はハワイ,ニュージランドおよびイースタを航行する知恵があった。文字をもたない彼らは,航行知識が個別に継承されるに従い共通の知識が失われていった。
日本の先史時代,2万7千年前の古代人は伊豆諸島の神津島から黒曜石を入手していた。推測だが,伊豆大島を基点に本土と往来していたのではないか。神津島へ直接渡ったのではないだろうと思う。
戦国期,突如北条早雲が伊豆国を奪取する。数少ない一代での下克上である。後北条の出自は伊勢平氏の末裔とされる。鎌倉期の騎馬軍は短期間に関東から東海道を経て京都に進軍できた。東海道が戦国大名により分割された戦国期には海の道を経て伊勢湾から関東へのルートが盛んだったのかもしれない。
太平洋を巡る航海の歴史も後世の知識人(僧侶,神官,役人)が記録に残さなければ神話としてしか残らない。尖閣諸島も隣接する台湾,琉球,九州の海民が利用する航行ための道標だったのだろう。日中両政府が大陸の領土概念で保有を争うのは全く馬鹿げている。いっそ無関心だった海禁鎖国政策時代の方がましか。航海交易の自由が担保されれば,経済水域の問題は何とかなるのではないか。
蛇足だが,江戸末期の勝海舟は咸臨丸で太平洋を横断したが,彼自身は天測は全く出来なかったようだ。実際は大河ドラマで描かれるような艦長ではなく,実務ができない現代の官僚と同じと考えてよさそうだ。正確には当時,現代の教授のような役職にあったらしいが理論だけを教えていたのか。同様に百年後には,原発事故対応の西山審議官が原発のエキスパートとして歴史に名を残すかもしれないと妄想する。勝のような官僚が出世するようでは幕府が薩長に勝てないのも道理か。勝が船酔いするというのも,船乗りではなく殆ど航海した事がない幕府の役人だったからなのだろう。

にほんブログ村
われわれが現在,知っているのは北半球の西欧風の星座名である。明治海軍も伝統的天測航法を捨て近代航法に切り替わったのであろう。かつて,ポリネシアには北はハワイ,ニュージランドおよびイースタを航行する知恵があった。文字をもたない彼らは,航行知識が個別に継承されるに従い共通の知識が失われていった。
日本の先史時代,2万7千年前の古代人は伊豆諸島の神津島から黒曜石を入手していた。推測だが,伊豆大島を基点に本土と往来していたのではないか。神津島へ直接渡ったのではないだろうと思う。
戦国期,突如北条早雲が伊豆国を奪取する。数少ない一代での下克上である。後北条の出自は伊勢平氏の末裔とされる。鎌倉期の騎馬軍は短期間に関東から東海道を経て京都に進軍できた。東海道が戦国大名により分割された戦国期には海の道を経て伊勢湾から関東へのルートが盛んだったのかもしれない。
太平洋を巡る航海の歴史も後世の知識人(僧侶,神官,役人)が記録に残さなければ神話としてしか残らない。尖閣諸島も隣接する台湾,琉球,九州の海民が利用する航行ための道標だったのだろう。日中両政府が大陸の領土概念で保有を争うのは全く馬鹿げている。いっそ無関心だった海禁鎖国政策時代の方がましか。航海交易の自由が担保されれば,経済水域の問題は何とかなるのではないか。
蛇足だが,江戸末期の勝海舟は咸臨丸で太平洋を横断したが,彼自身は天測は全く出来なかったようだ。実際は大河ドラマで描かれるような艦長ではなく,実務ができない現代の官僚と同じと考えてよさそうだ。正確には当時,現代の教授のような役職にあったらしいが理論だけを教えていたのか。同様に百年後には,原発事故対応の西山審議官が原発のエキスパートとして歴史に名を残すかもしれないと妄想する。勝のような官僚が出世するようでは幕府が薩長に勝てないのも道理か。勝が船酔いするというのも,船乗りではなく殆ど航海した事がない幕府の役人だったからなのだろう。

にほんブログ村
- 関連記事
コメント