武田薬品 R&D 合理化と農学部
以前タケダのチューリッヒ移転について述べたけど,研究員を 1/3 に削減するとの DOL 記事が掲載された。創薬研究開発はすそ野の広い学際的知識が問われる分野だ。薬学,医学,蛋白化学,生物学(遺伝子学,発生学等),分析化学とかまだ他にもある。
変革の目玉である湘南研究所の研究員約1000人の処遇はまだ詳細不明だが、異動、転籍、退職などで約3分の1に減らす見通しだと関係者の間でささやかれている。
武田は今月14日、産業革新機構などと共同出資する新会社も発表。かつて強みだった糖尿病などの研究開発品目を導出し、研究者約30人が転籍する。外国人が幹部の多数を占める武田だからこその大胆な変革ではあるが、人員に手を付ける変革はそうやすくはない。
合衆国に NIH という連邦政府所管の研究機関がある。ここには,世界中から研究員がやってきてグラントを得て最先端の研究をする。異能異才が問われる。シリコンバレーのIT分野と似た側面がある。創薬研究は多額の資金と期間を要し,リスクがとても大きい。従って,大手は合併を繰り返した。武田の研究員は恵まれた条件にあったけど,どうも世界(西欧)標準に達しなかったようだ。
農学軽視の日本
日本人が中韓台に追いつかれる心配のない分野の仕事が,またひとつなくなった。バイオ生命科学研究が今後,期待されるとして文科省はやたらとのこの種の学部学科専攻を認可したけど,ロースクール(法科大学院)以上に失敗だったかもしれない。
法学は別に長い歴史がなくても研究できる。後発国は判例が少ないだけである。現代医学は意外と農学と接点がある。IPS 細砲は幹細砲なので元は,家畜の人工授精研究である。生物分子化学の始原は農芸化学と言っていいだろう。日本で農学を志すと,意外と志望大学がないとわかる。東京の有名私学には全くない分野である。調べてはいないけど,合衆国の州立大学に農学部がないところはないのではないと思う。
生命科学を大きく発展させるには,畜産農業のスキルとか考え方が根っことして必要なのだろうと思う。巨大生命科学の知識をベースに現代の創薬研究が成り立つ。農業とか畜産が振るわない国での生命科学研究は表面的には西欧諸国と同じにみえても,根幹がないと,異能異才を受容する研究は育たないようが気がする。武田でもダメか。武田がダメではなくて,日本の文化歴史が西欧的創薬に向いていないのだろう。大隅先生は東大で干されてノーベル生理医学賞だ。まともな農学部が北大東大くらいしかない日本の大学制度がおかしかったのだろう。
参考
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