新規就農平均収入と融資
滋賀県に大規模な植物工場が完成した。国の補助金6億円,政策金融公庫と滋賀銀が合わせて10億円の融資だ。自己資金はいくらか記事は触れていない。自己資金ゼロなら,補助金率は 37.5% になる。
ごく普通に新規就農した農家の平均年収は 265.3 万円である。世襲農家でもない限り,よほど革新的なビジネスモデルを考えない限り,家族の扶養は不可能だ。子供を高校に進学させられない。現実は実に厳しい。世襲でも小規模なら,兼業だろうか。
政府は貧困率が上昇しているのを認めている。それでは,雇用を生み出す構造変換を阻害するものは何か。既得権のしがらみでどうにもならないのだろう。英国もそのうちの一カ国で構造改革ができず,競争力が低下して貧困が増えてEUを離脱する事になった一面もあるのだろう。
EUの平均をみると貧困率は下がっている。日本の識者の言うEU崩壊は皮相な見方だろう。EU北部は市場統合関税同盟の恩恵を受けている。それなりの自助努力をしている。南欧と英国だけをみるとお先真っ暗ではあるが。旧ユーゴも成長しているのに,ギリシャはオスマン帝国に支配されている間に精神がおかしくなったのだろう。地中海沿岸諸国が貧困になっている。ドイツはギリシャトルコを飛び越して,シリア系の大量移民を受け入れている。欧州大国の異民族対策はしたたかだ。第4帝国か? 異民族を競わせている。。。それは合衆国にもいえたが最近,事情が変わった。
合衆国では新規就農が絶えないらしい。ビジネスモデルはどうなっているのだろうか。銀行は破産した農家案件を新規就農者に転売しているのかもしれない。日本だと,農家は破産しないから物件も出回らないのだろうか。他に転用が難しい空き工場物件が地銀の不良資産になっている。
滋賀銀は地銀である。これまで地銀の優良貸付先はパチンコ店と病院であった。ある苦労人の起業家によれば両者とも自己資金ゼロでも融資したそうだ。彼はホールにも働いた事があった。今までは焦げ付かなかったからだ。それだけ利益率も大きかったのだろう。
このバラ園の場合,融資先に農林金庫とか農協が入っていないのがミソか。農協なしでも大型経営農家は資金に困らないのか。時代が変わりつつあるのだろう。幕末明治は豪農層が維新運動の原動力になった。ロシア革命とか文革は貧農層を主体にしようとしたけど,結局うまくいかなかった。貧農に経営の才がなかったからだ。
明治の高成長は補助金に頼らなかった。規制を取り払っただけだった。官営工場は失敗した方が多い。規制をなくしても,成長路線に乗らないかもしれないと思うようになった。小4児童が公務員を目指すような国家に未来はないだろう。今の日本は李朝時代の朝鮮と同じじゃないか。
ある学者によると,李朝が貧しかったのは2人に一人は役人だったからだそうだ。これは誇張がすぎる。江戸期でも大名は官位官職にこだわった。東芝の不祥事は経営層の勲章欲しさもあるのかなと思う。会長および業界団体を所定の年限を勤め上げないと叙勲の対象にならない。役所が推薦を口実に財界をコントロールする。戦前までは,そんな事がなかった。戦後,軍人の叙勲枠が民間人に移り,おかしくなった。本来,叙勲は老害を避けるための知恵だったのだが,逆になってしまった。
中国の北朝は均田制をとった。農家は官戸だから,考えようによっては役人か。明治政府も北海道に屯田制を導入したけど,うまくいかなかった。農家の才覚に違いがあるから,均田制屯田制はうまくいかないのだろう。イスラエルに移民した東欧系ユダヤ人はソ連の集団農場を模して,キブツを始めたが,多数派になり得なかった。神と個人との契約が重要視され,故地に神殿を再建する事はなかったから無理筋だった。
イエスがいた頃の古代イスラエルにクムラン教団という聖都エルサレムに背を向けた集団があった。私有財産を否定し,妻帯もせず共同生活を荒れ野で送った。修道会の始まりみたいなものか。最近,マルタ騎士団がミャンマーでコンドームを配布したら,ローマ教皇の逆鱗に触れ,騎士団長が解任された。カトリックの本義は「禁欲」なのだと知った。日本の神道には戒律がないので,まともな教義もない。
イエスのたとえ話に3人の僕の話がある。僕たちが主人から預かった金をどうするかだ。「わたしの金を銀行に預けておくべきであった。そうしたら、わたしは帰ってきて、利子と一緒にわたしの金を返してもらえたであろうに」とある。日本はゼロ金利である。金利がゼロだと償却の考えが成立しなくなる。これは社会主義と同じである。政府どころか国民もおかしくなったようだ。私の頭がおかしいだけか。
日々の支払いを考えながら,人々は生活している。合衆国は自己責任の国である。目減りしていく Deposit の現実を前に,合衆国民はヒラリーではなく無茶をするかもしれないトランプに賭けたのか。危機を察知する国民性なのだろう。合衆国民は大恐慌の後,ルーズベルトを指導者に選択した。
その頃の日本は政党政治が瓦解して(軍)官僚による首相のたらい回しが始まった。戦う前に指導者選びで敗けていたのだろう。当時からも,日本には国会があり民主主義の国だったから,現代と本質的な違いはない。当時の国民も今も国防にさほどの関心がなかった。軍縮をめぐる統帥権干犯問題にしても,野党の与党攻撃材料の一つだった。それを煽ったのが朝日とか毎日の新聞だった。反軍縮と反原発は根っこが同じなのだ。政党を解散して,今の北朝鮮のような政治体制を日本人は自ら選択した。
それにしても連邦税(所得税)にやかましい国民が,納税申告を公開しない大統領もめずらしい。よほど,国民は追い詰められているのだろうか。
現時点では、アメリカ国民は自国の大統領が、国内、ましてや外国の銀行からも、どれだけの借金をしているのかまったく情報がないに等しい。
トランプ氏は、IRSの監査中だった時点でペンシルバニアとニュージャージーの2つの州当局に自らの納税申告書を提出していた。カジノの営業許可を申請するのに必要な法的手続きの一環だった。
カジノ経営者を自国の指導者に選んだ合衆国民。日本にも金権政治家と呼ばれた田中角栄がいた。田中を継承する政治家はほとんど凋落した。その最後は小沢氏だ。「小沢氏はついに用途不明だった辺野古の土地にゴージャスな別荘を建てたのであります」とあった。舛添氏といい,現役政治指導者のまま別荘建築とか購入する。政治に飽いたのであろう。庶民に人気のなかった陸軍の大御所であった山県の趣味は造庭であった。イタリアを旅すると,美しい別荘がたくさん残っている。イタリア貴族とか豪商が残したものだ。枢機卿のような高位聖職者もそうだ。Star Wars の舞台となったコモ湖のは外交官が建てたものだそうだ。日本の大名は名園を残した。近江商人は近代日本の資本家を多く輩出したけど,隠遁した住まいを訪ねると質素なものだ。イタリアから特急で数時間乗ると,スイスに入る。それなりに景観を配慮しているけど,際立って美しい建築物がない。滋賀は京都人から文化がないと馬鹿にされる。
蓄積した富を何に使うか。目減りしていく(劣化資産)をどうするか。貧しいスイス農民は農閑期にフランス有産階級向けにからくり人形 Automata を製作した。やがて時計が大ブームとなって湖沿いに工房が育った。ドイツの農民だとカッコウ時計だった。豊かな農産物を産するフランスイタリアを相手に農業での競争は無理だったのだろう。日本にも何がしかのヒントになる。
日本の農産物を輸出しようとする企画運動がなされている。EUのように通貨が統合されているのなら為替リスクもなく,南欧のオレンジが北欧で食される。オリーブはギリシャの特産品である。EU諸国の人たちにとり,オリーブオイルといえばギリシャ産だろう。日本の場合,海外向け農産物生産は天候リスクさらに為替リスクも考えたら,リスキーな事業だ。利にさとい大手商社が国内農産物栽培に乗り出さないのは簡単に収益が上がらないからだろう。
老境のせいか希望を見いだせない。新規就農者優遇制度は年齢制限があり45歳までだ。妥当なところか。滋賀の農民は戦後,養蚕がダメになるとモータ,エンジンとかの部品を農閑期に製造し大阪に出荷した。その伝統が今でも続き,末端工場の自動車動力系部品製造ラインの省力装置を設計したりした。安い工賃でよくまあ,こんな高価な工作機械と思うような設備を保有している。ひとえに効率を上げるためだ。
滋賀の経済規模は全国の1%である。滋賀の事象を 100 倍したら日本の姿が見える。最近,農協の高金利を唄った貯金のチラシが入った。金融機関は貸付先を値踏みして金利を提示する。預ける方も金融会社を選択する時代になったと実感させられる。農業事業者の大型融資に農林系がないとは不思議な感じがする。貸出金利が高いのか。
貧困率が上昇するアベノミクスはいい政策だろうか。家人によれば,ギリシャは4人に一人は公務員だそうだ。社会主義的政策をとった国は閉鎖的経済のせいか,例外なく貧しかった。北朝鮮とキューバは最貧国である。平和だった江戸時代も貧農小作農が支えていた閉鎖経済だった。昭和の大不景気で絹が合衆国に全く売れず,綿紡績は中国製品が台頭して中国市場も苦戦していた。上海事変は上海周辺の中国民族資本による綿産業を破壊できるメリットがあった。満州事変が上海に飛び火したのではない。さらに日本の占領地域では大蔵省がアヘンの専売をすすめた。アヘンの栽培地は満州だった。中国との戦闘により,国家予算の軍事費が 75% を越えて国民生活が窮乏していくなかでの選択が米英との戦争だった。みんなで赤信号渡れば怖くない状態だった。独立採算制にして,電気料金をでんりょく会社の裁量まかせたらどうか。経産省は東電とつるんで全国民に廃炉除染費補償費をユニバーサル料金として賦課する。これって税金と何が違うのか。大陸進出の絵を描いた革新官僚と同じではないか。費目が戦費軍事費とは違うだけか。例えば,自動車部品は7次下請けの階層構造になっている。それぞれに電気料金が必要だ。乗数効果で効いてくる。そんな自明な事をわかっていてもやるのが,戦前の軍官僚と同じか。日本は 3.11 を境に経済成長があり得ない政策を進まざるを得なくなった。今でも毎日,朝日は戦前と同じように国民生活を犠牲にした反軍縮を掲げたように反原発キャンペーンをする。国民意識が変わっていないのだろう。
参考
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