2013/08/16

ゲシュタポと憲兵

戦後,ドイツは合法的だったゲシュタポを裁いた。上官から命令され,ユダヤ人を狩り出し収容所に送り出した警察官が事後法により断罪された。これでは役人をやっていられない。何故このような超法的な事が可能なのか。2000年前,ユダヤ高等法院を批判したナザレ人イエスは,役人に拘引され人民裁判により死罪となった。遵法の敬虔なユダヤ人が後世,イエス派により批判され,キリスト教徒により迫害されるようになった。日本人が言う,事後法云々は人道に関しては西欧では通用しないのではないか。

一方,日本の軍は明治憲法違反の軍事行動であった満州事変を引き起こし,憲兵は民間人をも拘引取調べをするようになった。吉田茂の岳父が宮内大臣を務めたほどの権力者だったにもかかわらず,終戦工作のかどで吉田は終戦直前,憲兵により檻に入れられた。取調べの際,さすがに,市民には常習的に行われた拷問はなかったようだ。憲兵が民間人を逮捕拘引を認めた法律は公布されていないと思うが,国民はこれを許容し戦後も咎めるような事はなかった。軍が2.26以降,政治権力も握り警察権を行使しても国民は是としたのだろう。国内は通常政府の警察の他に陸軍憲兵も民間人を取り締まるようになった。学者では上からのファシズムと呼ぶらしい。

今年は200人以上の国会議員が8.15に靖国参拝した。ごく普通の日本人は靖国参拝を批判しづらい。というのは靖国神社の幕をみるように天皇の神社であり,靖国の否定は天皇の否定にもなるからだ。毎日新聞の社説では,「安倍政権の対応を長い目で見てもらいたい。浅薄なナショナリズムの応酬だけは避けようではないか」とあり,驚いた。もう毎日新聞もお詫びの感情はないのでろう。さすが百人斬り報道で培った精神は今でも健在なのだろう。従軍慰安婦問題見直しの安倍政権に同意したのか。そういえば,昨日の韓国大統領のスピーチを取り上げていないのも一貫しているな。普段は毛嫌いしているが,朝鮮日報にアクセスして,「過去を直視しようという勇気と、相手の痛みに配慮する姿勢がなければ未来へ向かう信頼を築くのは難しい。日本の政治家らが過去の傷を癒していく勇気あるリーダーシップを示すべきだ」とあった。立派なスピーチだ。浅薄なナショナリズムなのは安倍首相と毎日新聞ではないか。韓国の新聞は天皇が膝を屈して謝罪するよう要求している。これは朝鮮の事情を割り引かなければならない。朝鮮王は皇帝の使節に対して,中国の官僚のように三跪九叩頭をしたからだ。これを屈辱とは思わず,中国の文明に浴したと発想の転換ができたのだ。日本の遣隋使は日の昇る処の「天子」と自称したとされる。本当かな。

米国の奴隷制度は合法的だったにも関わらず,米国民には罪の意識がある。宗教的罪の意識のない日本人には合法的だった従軍慰安婦と植民地の痛みはわからないだろう。今の韓国と中国の経済力は戦前とは比べ物にならない。政治的対立して何の得があるのか。実際,両国に対して現在の自衛隊は腰が引けている。対立するなら,核武装して軍備を整えて,思想統制的には靖国神社を国有化してからだ。明治の指導者はその点,きちんと内政を整えてから朝鮮侵略に着手した。軍も元勲の指導下にあった。今のままだと,また戦前のように官僚が権力を掌握し,内部の権力争いに陥ってしまう。外務陸軍海軍がそれぞれ外交活動を行い,首相は情報に最も疎かった。各大臣は天皇への報告義務はあったけど,首相には重要情報をあげなかった。

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