2016/05/27

AKI H8/3694 ボード再活用

TDS310 が故障して以来,データロギングの手立てがない。AVR ボードの活用も考えたけど,これは室内温湿度測定専用にしたい。遊んでいる秋月の H8/3694 ボードが2枚ある。これを活用するつもりであったが,改造が必要な事と加齢がネックになってしまった。以下その報告だ。

主としてカメラ充電池として利用している NiMH と NiCd の放電器を製作する事にした。私のカメラは SUM3 2本を使用するから,放電回路も2セット製作する。これまでの簡易内部抵抗値測定でも,劣化は確認できるけれどもその程度の定量化は怪しい。カメラが起動しなくなってから,放電器を使って放電させればその放電特性から劣化程度の把握と充電池の再生も兼ねられると思っている。

そのため放電流と放電電圧がわかればいいが,放電電流はシングルエンドだと測定はできないので差動回路が必要になるのは面倒だ。放電電圧特性だけでも履歴を取っていれば,劣化を判定できるかもしれない。H8/3694 は ADC の外部レンジ入力端子があるから,そこに正確な参照電圧を印加すればいいと思い込んでいたが,秋月の回路をみると電源電圧が印加されていてパターンをカットしなければならない。ルーペを覗いてやっとわかるほどのパターンだ。スイチング DC5V 電源はドリフトが避けられない。恐らく精度的に問題はないだろうが,温度ドリフト安定度が嫌味だ。

秋月のボードを2枚運用していた頃の常用PCは2個のシリアル COM コネクタがあり便利だった。しかし現用機にシリアルポートはない。RS232 対応の USB シリアル変換ケーブルを検索したら,安価品と高価品に二分される。安価品はどうも,RS232 正規の負電圧信号を出力しない TTL レベルのようだ。秋月の RS232 信号レベル対応の変換ケーブルは在庫切れで7月の入荷予定になっている。信号を 20m も伝送しないなら,TTL 信号でも問題ないだろう。さいわい秋月のボードは RS232 トランシーバ/レシーバIC の MAX232 をバイパスできる端子が出ている。安価品は \300 以下で入手できる。

さてどうしたものか。実際の使い勝手を想像したら,秋月ボードは 5V の外部電源が必要なのに AVR の方は USB 給電が可能だ。机上のごちゃごちゃを思うと,秋月 H8/3694 ボードの再活用はペンディングとした。放電器用の電子部品を発注済みだったので,秋月ボードの回路図を確認していれば AVR もついで発注できていたのにと思う。

若い頃,電子回路でお世話になった別のグループの上司と話をしていると,決まって回路図を持ってこいと言われた。回路図を見せると,指摘してくれた。しかしそんな彼は降格になった。反面,試作部品抵抗1本も惜しいという利口な上司が出世していった。ちなみに抵抗1本の単価は1円だった。彼は有名大学の電気系出身なのに回路は読めずめくら判だった。当時の部長は試作不要を掲げていた。試作費の費目がなくなるので,どうしたか。要領のいい同僚はこれから試作に必要と思われるような部品を製番に紛れ込ませて,電子部品を個人で秘匿するのだった。管理職として出世するなら,回路なんかかまけているよりは上司と共通の趣味に精を出したほうが有利なのかもしれない。ただこれはバブルの頃の話だけど。私の上司は部品は業者からもらえと言っていた。今では要領よく業者とつきあえとの忠告だったのだろうと思う。便宜をはかり,もちつもたれつの関係を築けなかった。日本海軍のレーダ研究本を読むと,日本無線とかの業者をつかいまくるやり手の技手の話がある。上司を押し上げるには誰かが汚れ仕事をしなければならない。

別の研究組織に移り,整理された膨大な研究員共用の抵抗パーツ棚をみて凄いなと思った。その研究部はシャープの技術者出身が創設したものだった。元の組織の貧乏研究とえらい違いだった。多分,地道な実験研究がシャープの栄光を支えていたのだろう。そんなシャープだから三洋のように解体される事もなかったのではなかろうか。

秋月 H8/3694 ボード活用もくろみは萎えた。
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