ストーカと自衛権
毎日新聞の社会面と政治面をみると,不思議な感情が湧いた。ストーカによる殺人と自衛権を巡る論争だ。自衛権を司る役所は自衛隊であり,市民の安全を担保する役所は警察署だ。どちらも武力組織だが,法律により規制されている。一市民を守れない地方自治体からなる国家が国民を守れるだろうか。
ストーカは書面による警告を受けたようだが,結果的に抑止にならなかった。国家レベルでも個別とか集団的とか法律論争が起きているが,テロ実行を試みる組織には何の役にも立たないのではないか。江戸期,ヒトを殺めると死罪が基本だった。今は3人以上殺さないと死刑判決が出ない。一揆はあっても反乱はなかった。日本では水と安全はタダとの所以だ。
江戸幕府が崩壊して,江戸の武装組織が解体したけれど争乱略奪は起きなかった。首都の軍事力は横浜に進駐した英仏軍だけだった。その後,西国雄藩は御親兵を提供して日本軍の基礎となった。本来,軍とは内乱対策のためだが西南の役以降,日本ではそうならなかった。
毎日新聞の一記者が自衛隊をレポートしている。それによると,軍事官僚は治安出動は嫌だったそうだ(安保改定の頃)。治安維持任務を避けたいとは,それこそ税金泥棒ではないと思うが。消防署が消火活動したくないと言っているの同じだろう。自衛隊がこれほど独善的だとは思わなかった。
近衛兵の反乱が起きた 2.26 事件の際,天皇自ら鎮圧すると言ったらしいが,そうはならなかった。昭和天皇は軍を動かす統帥権が自分にないと,このとき自覚した。国民の統制を強化しながら,軍事官僚は自らの統制に失敗した。今もその悪弊があるようだ。日本の軍事組織は気味が悪い。なぜこのような状態に至ったか。議会が治安に対する関心が薄いせいもあるだろう。
警察権を行使しなくなった警察と治安出動しない自衛隊とは根が一緒のような気がする。リーダ不在なのだ。統治者を選抜できない。米国だと地方検事となり辣腕を振るい選挙を重ねて政治家となる例がある。日本に法制度が導入されて,国司が警察権を行使した。天皇の中央集権が形骸化して荘園が成立する頃から地頭が警察権を担うようになった。それが武家政権の江戸末期まで続いた。明治以降の治安制度が警察と皇軍に別れておかしくなったのかもしれない。憲兵隊が民生にまで関与し,昭和天皇までが東條は憲兵に依存しすぎたと言わしめた。
軍警の分離に熱心なのは日本,韓国,中国だ。臨検は現行法では海保が担当し海自はできないとか変な法律論が大勢だ。海軍が臨検するのは国際法上当たり前だ。軍は警察行動を絶えず伴う。従って英陸軍は北アイルランドの治安活動では峻厳な警察権を行使した。仏伊に至っては国家警察(憲兵)は国軍に含まれている。英警官の階級と組織は英軍と同様だ。これは軍から警察制度が分離した名残だ。
中国の人民解放軍を日本の皇軍とみなせば,中国の国家警察が肥大している理由が同じ官僚の発想だとわかる。人民解放軍は自衛隊同様,遊離しているのだろう。治安活動できない自衛隊と人民解放軍は文官優位のせいか。なお文官とシビリアンコントロールと何の関係もない。Civil に官吏のニュアンスは全くない。
ストーカは書面による警告を受けたようだが,結果的に抑止にならなかった。国家レベルでも個別とか集団的とか法律論争が起きているが,テロ実行を試みる組織には何の役にも立たないのではないか。江戸期,ヒトを殺めると死罪が基本だった。今は3人以上殺さないと死刑判決が出ない。一揆はあっても反乱はなかった。日本では水と安全はタダとの所以だ。
江戸幕府が崩壊して,江戸の武装組織が解体したけれど争乱略奪は起きなかった。首都の軍事力は横浜に進駐した英仏軍だけだった。その後,西国雄藩は御親兵を提供して日本軍の基礎となった。本来,軍とは内乱対策のためだが西南の役以降,日本ではそうならなかった。
毎日新聞の一記者が自衛隊をレポートしている。それによると,軍事官僚は治安出動は嫌だったそうだ(安保改定の頃)。治安維持任務を避けたいとは,それこそ税金泥棒ではないと思うが。消防署が消火活動したくないと言っているの同じだろう。自衛隊がこれほど独善的だとは思わなかった。
近衛兵の反乱が起きた 2.26 事件の際,天皇自ら鎮圧すると言ったらしいが,そうはならなかった。昭和天皇は軍を動かす統帥権が自分にないと,このとき自覚した。国民の統制を強化しながら,軍事官僚は自らの統制に失敗した。今もその悪弊があるようだ。日本の軍事組織は気味が悪い。なぜこのような状態に至ったか。議会が治安に対する関心が薄いせいもあるだろう。
警察権を行使しなくなった警察と治安出動しない自衛隊とは根が一緒のような気がする。リーダ不在なのだ。統治者を選抜できない。米国だと地方検事となり辣腕を振るい選挙を重ねて政治家となる例がある。日本に法制度が導入されて,国司が警察権を行使した。天皇の中央集権が形骸化して荘園が成立する頃から地頭が警察権を担うようになった。それが武家政権の江戸末期まで続いた。明治以降の治安制度が警察と皇軍に別れておかしくなったのかもしれない。憲兵隊が民生にまで関与し,昭和天皇までが東條は憲兵に依存しすぎたと言わしめた。
軍警の分離に熱心なのは日本,韓国,中国だ。臨検は現行法では海保が担当し海自はできないとか変な法律論が大勢だ。海軍が臨検するのは国際法上当たり前だ。軍は警察行動を絶えず伴う。従って英陸軍は北アイルランドの治安活動では峻厳な警察権を行使した。仏伊に至っては国家警察(憲兵)は国軍に含まれている。英警官の階級と組織は英軍と同様だ。これは軍から警察制度が分離した名残だ。
中国の人民解放軍を日本の皇軍とみなせば,中国の国家警察が肥大している理由が同じ官僚の発想だとわかる。人民解放軍は自衛隊同様,遊離しているのだろう。治安活動できない自衛隊と人民解放軍は文官優位のせいか。なお文官とシビリアンコントロールと何の関係もない。Civil に官吏のニュアンスは全くない。
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