2014/06/25

集団的自衛権の戦死者コスト

ドイツは集団的自衛権をアフガンで行使して55名の戦死者を出した。日本の年間の交通事故の死者数が4千人程度だ。日本が戦争を始めるとしたら,これくらいが上限ではないのか。自衛隊員は特別公務員で生命保険会社は加入を拒否している。先だっての自衛隊のイラク派遣では,政府が隊員に2億から3億の生命保証金を確約して,ようやく自衛隊は出動に応じた。

自衛隊員は志願者で戦争のプロだ。いわば傭兵みたいなようなものでリスクの大きい任務を拒否できる。米国も志願兵制度だが,入隊後は契約により,軍法が適法され敵前逃亡になると重い懲罰が課せられる。後は不名誉除隊という処分もある。4千人戦死したとしても支払う生命保証は1兆2千億円だ。昨年度の NLG 液化天然ガスの輸入代金は7兆円を超えたくらいだから,余力をもって耐えられるだろう。ただ,年間4千人も戦死したら,兵員の補充が破綻する。その時,徴兵制を復活させられるかどうかだろう。その覚悟があって,中国と事を構える事ができるか。

震災の時,任務を放棄し逃亡した自衛隊員が窃盗罪で起訴された。自衛隊法の適用ではない。まあ,自衛隊員に厳しい枷がはめられるような法整備は防衛省が陸海空の総意として反対するかも。戦前は明治憲法の統帥権を振りかざし,軍事官僚はしたい放題だった。戦後は平和憲法のおかげで軍法の制約もない自由さだ。戦前戦後を問わず,軍事官僚は議会を超越している。明治昭和の憲法論議は役に立たない法律論争だ。

毎日新聞 高村薫 インタビュー 引用
自衛隊に戦死者が出た時、国民は政権を非難するだろう。だがその政権を支持したのも国民であることを忘れてはならない。政権は有権者を映す鏡だ。安倍氏を首相にしている有権者は、日本が戦争のできる国になろうとしていることにOKを与えているに等しい。そのことを自覚しなければならない。

 私たちが優先すべきは、他国との争いでなく、平和のための外交だ。複雑な利害が絡む他国との間で、いま、歯止めとしての外交努力こそが必要なのだ。【聞き手・狩野智彦】

関連記事

コメント

非公開コメント